ここから行政手続法 第3章に入ります。行政手続法の第3章では、不利益処分について定めています。
行政手続法の第3章は第1節 通則、第二節 聴聞、第三節 弁明の機会の付与から構成されています。
ネコ丸
行政手続法 第2条を確認してみよう。
マサル
四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。
イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの
マサル
不利益処分の意義の原則は、”行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分”で、例外として、イ、ロ、ハ、ニの項目は不利益処分からは除外されてます。
行政手続法の第3章では、行政庁が不利益処分をしようとしている場合の意見陳述の手続きについて定めています。
ネコ丸
マサル
不利益処分 第一節 通則
行政手続法 第12条 処分基準
1 行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
2 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
行政手続法 第12条では、処分基準について定めています。
ネコ丸
処分基準は、不利益処分をするかどうかを判断するための基準となるものだね。
マサル
処分基準:不利益処分をするかどうかを判断するための基準
ネコ丸
処分基準を定めて公にしてしまうとその処分基準を悪用したりする輩がでてくるかもしれないからね。
マサル
ネコ丸
本来であれば、99gよりもっと有害物質の排出を少なくできるのにそれをしなくてなってしまうかもしれない。
マサル
ネコ丸
審査基準、申請に対する標準処理期間、処分基準の義務について
申請に対する処分
定める | 公にする | |
審査基準 | 法的義務 | 法的義務 |
標準処理期間 | 努力義務 | 定めた場合、法的義務 |
不利益処分
定める | 公にする | |
処分基準 | 努力義務 | 努力義務 |
行政手続法 第13条 不利益処分をしようとする場合の手続
1 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一 次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五 当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。
行政手続法 第13条では、不利益処分をしようとする場合の手続について定めています。
意見陳述手続きには、聴聞と弁明の機会の付与という二つの手続きが存在します。
名あて人への影響が大きい不利益処分については聴聞が実施され、聴聞は口頭審理主義をとっています。
聴聞が実施されるほどに不利益処分ではない場合は、弁明の機会の付与が実施され、弁明の機会の付与は書面審理主義をとっています。
行政手続法 第13条をみてみると、1号で聴聞の手続きをすべき不利益処分が挙げられており、2号では、1号で挙げた内容以外のものは弁明の機会の付与を実施するとあります。
行政手続法 第13条2項では、例外として意見陳述手続きが必要としない場合を定めています。
行政手続法 第13条2項 1号、4号、5号あたりは覚えやすいと思いますので、覚えておきましょう。
行政手続法 第14条 不利益処分の理由の提示
1 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
行政手続法 第14条では、不利益処分の理由の提示について定めています。
行政手続法 第14条で、原則として不利益処分をする場合は理由を示さなければならないとしています。例外として、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は必要ありません。
ただし、不利益処分の時に当該理由を示さなかった場合でも、処分後相当の期間内に理由を示さなければなりません。
その場合でも当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときは当該理由を示す必要はありません。
また、不利益処分をする場合は口頭、書面のどちらでもかまいませんが、不利益処分を書面でする場合は、不利益処分の理由の提示も書面でする必要があります。