行政指導ってどんな行為?

ネコ丸

行政指導、行政処分って言葉はニュースとかで聞いたことがあるよ!
ただ、意味についてはよくわからない…
行政処分とか行政指導とか似たような言葉多いから、分かりづらいよね
ただ、行政処分と行政指導は全く違う言葉だから注意ね。

マサル

行政手続法 第2条

二 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。

処分は、行政手続法 第2条 2号にあるように公権力の行使に当たる行為のこと。

マサル

ネコ丸

公権力の行使は何?
行政が国民に対して強制的に権利や義務を発生させたり、消滅させたりするものだね。
だから、行政処分は国民に対して強制力があるんだよ。

マサル

ネコ丸

行政指導は強制力はないの?
行政手続法 第2条

六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

行政手続法 第2条 6号をみると、行政指導は、作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものとあるよね。
行政指導はあくまで行政から国民に対しての指導や助言であって、強制力はないんだ。

マサル

行政指導に対して、なんとなくイメージはついたでしょうか?
あくまで、行政指導は行政から国民に対してのお願いであって、強制力があるものではありません。
行政指導の詳しい内容は、条文をみながら確認していきましょう。

第四章 行政指導

行政手続法 第32条 行政指導の一般原則

行政手続法 第32条

1 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。

2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

行政手続法 第32条では、行政指導の一般原則について定めています。

先ほどからいっているとおり、行政指導は強制力があるものではありませんので、あくまで相手方の任意の協力によって実現されるものであることを定めています。

“行政指導に携わる者は、当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと“を定めています。
そもそも行政指導は行政手続法 第2条 6号でみる限り、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するためと定めていますが、第32条ではさらにその範囲を逸脱しないようにとしています。

行政手続法 第2条

六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

行政手続法 第33条 申請に関連する行政指導

行政手続法 第33条

1 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

行政手続法 第33条では、申請に関連する行政指導について定めています。

行政手続法 第34条 許認可等の権限に関連する行政指導

行政手続法 第34条

1 許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。

行政手続法 第34条では、許認可等の権限に関連する行政指導について定めています。

行政手続き法 第33条と第34条も行政側が行政指導を受ける側に対して強制的に行政指導に従わせるような事をしてはいけないとを定めています。

行政手続法 第35条 行政指導の方式

行政手続法 第35条

1 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

2 行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、次に掲げる事項を示さなければならない。

一 当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項

二 前号の条項に規定する要件

三 当該権限の行使が前号の要件に適合する理由

3 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前二項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

4 前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。

一 相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの

二 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの

行政手続法 第35条では、行政指導の方式について定めています。

行政指導に携わる者は、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければなりません。

行政手続法 第36条 複数の者を対象とする行政指導

行政手続法 第36条

1 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。

行政手続法 第36条では、複数の者を対象とする行政指導について定めています。

行政指導はどういう行為だったでしょうか?
行政指導とは、特定の者に対してする行為です。特定の者が複数であった場合はどうするのか?という事が定められているのが、行政手続法 第36条です。

行政手続法 第2条

六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

行政手続法 第36条では、複数の者に対し行政指導をしようとするときは、あらかじめ行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。としています。

行政手続法 第36条の2 行政指導の中止等の求め

行政手続法 第36条の2

1 法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。

2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。

一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所

二 当該行政指導の内容

三 当該行政指導がその根拠とする法律の条項

四 前号の条項に規定する要件

五 当該行政指導が前号の要件に適合しないと思料する理由

六 その他参考となる事項

3 当該行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければならない。

行政手続法 第36条の2では、行政指導の中止等の求めについて定めています。

法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)とありますので、法律に基づく行政指導を受けたもの関しては、行政指導の中止を求めることができます。

ただし、例外として、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは中止を求めることはできません。

また、行政指導の中止の申し出をして、行政側が法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、行政指導を中止しなければなりません。これは法的義務です。