不利益処分 弁明の機会の付与とは?

不利益処分 第三節 弁明の機会の付与

弁明の機会の付与とは、名あて人への影響が小さい不利益処分については実施される意見陳述で、書面審査主義がとられています。

弁明の機会の付与の流れ

図1 弁明の機会の付与の流れ

弁明の機会の付与

  1. 行政庁から書面により不利益処分の名あて人は通知
  2. 不利益処分の名あて人は行政庁に弁明書及び証拠書類等を提出

弁明の機会の付与の簡単な流れを図にすると、図1のようになります。

このように弁明の機会の付与は聴聞と違い、書面により審査することになっています。
細かい規定については、第29条~第31条を見て確認してみましょう。

行政手続法 第29条 弁明の機会の付与の方式

行政手続法 第29条

1 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。

2 弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。

行政手続法 第29条では、弁明の機会の付与の方式について定めています。

行政手続法 第29条では、弁明の機会の付与が書面により実施されるということを定めています。(書面審査主義)

また、弁明書と同時に証拠書類等を提出することも可能です。

行政手続法 第30条 弁明の機会の付与の通知の方式

行政手続法 第30条

1 行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項

二 不利益処分の原因となる事実

三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)

行政手続法 第30条では、弁明の機会の付与の通知の方式について定めています。

弁明の機会の付与の通知は必ず書面で通知することになります。
口頭で通知することはできませんので、注意してください。

行政手続法 第31条 聴聞に関する手続の準用

行政手続法 第31条

1 第十五条第三項及び第十六条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。この場合において、第十五条第三項中「第一項」とあるのは「第三十条」と、「同項第三号及び第四号」とあるのは「同条第三号」と、第十六条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十条」と、「同条第三項後段」とあるのは「第三十一条において準用する第十五条第三項後段」と読み替えるものとする。

行政手続法 第31条では、聴聞に関する手続の準用について定めています。

どの条文が準用されているのか確認してみましょう。
第15条3項及び第16条の規定が弁明の機会の付与にも準用されているとあります。

行政手続法 第15条

3 行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。

行政手続法 第16条

1 前条第一項の通知を受けた者(同条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は、代理人を選任することができる。

2 代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。

3 代理人の資格は、書面で証明しなければならない。

4 代理人がその資格を失ったときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。

第15条3項及び第16条の規定をみてみると、第15条3項では、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合の規定で、第16条は代理人の規定であることがわかります。

これらの規定が弁明の機会の付与にも準用されることになります。