行政書士試験は比較的手が届きやすいと言われますが、その範囲は広く、難易度も決して低くはありません。
行政書士試験に合格するためには、計画的かつ効率的な勉強が不可欠です。
今回は、行政書士試験に合格するために必要な勉強時間の目安について詳しく解説します。
初学者や社会人で忙しい方でも、試験までの勉強計画を立てる際の参考になるよう、目安となる勉強時間や効率的な勉強方法についてご紹介します。
行政書士試験の合格ラインと試験概要
まず、行政書士試験の合格ラインや試験概要を理解することが重要です。試験の範囲や合格基準を知ることで、どのくらいの勉強時間が必要かの目安が見えてきます。
行政書士試験の内容
行政書士試験は、以下の3つの科目で構成されています。
法令等科目(全体の60%程度)
憲法、民法、行政法、商法、基礎法学など
特に民法と行政法が多くの割合を占めます。
一般知識等科目(全体の40%程度)
政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護、文章理解など
記述式問題
主に法令科目に関連する実務的な問題が出題されます。
行政書士試験の合格基準
試験の合格基準は以下の通りです。
・総得点300点中180点以上(60%以上の得点)を獲得すること
・一般知識科目で40%以上の得点(14問中6問以上の正解)が必要
法令科目に関しては、最低限の基準点が設けられていませんが、一般知識での足切りに注意する必要があります。
行政書士試験に合格するために必要な勉強時間の目安
では、行政書士試験に合格するために必要な勉強時間はどのくらいでしょうか?個人差はありますが、多くの合格者の体験談や学習時間の調査に基づいて、目安となる勉強時間を以下に示します。
初学者の場合
法律の知識が全くない初学者が行政書士試験に合格するためには、約600時間~1000時間の勉強が必要とされています。この時間は、法律や行政に関する基礎知識がない状態から学び始める場合の目安です。
600時間:ある程度の効率的な学習計画を立て、短期間で集中して取り組んだ場合の最低時間。
800~1000時間:勉強に割ける時間が限られている場合や、独学で学習する場合の目安。
初学者にとっては、まず法律の基本的な用語や概念を理解することから始める必要があります。
そのため、基礎知識の習得にかなりの時間がかかりますが、繰り返し学習することで理解が深まり、徐々に効率が上がってきます。
経験者・法律の基礎知識がある場合
法律関係の学習経験がある、または他の法律系資格を持っている場合、行政書士試験の範囲にも慣れているため、必要な勉強時間は約300~500時間とされています。
300時間:法律の基礎知識があり、効率的に学習を進められる場合の最低時間。
500時間:法律に関する概念はあるが、行政書士試験の特有の分野に対応するためにしっかりと復習が必要な場合の目安。
法律の基礎がある受験生は、民法や行政法の基礎的な部分は早く理解できるため、比較的短時間での合格が可能です。
ただし、行政書士試験は特に行政法や一般知識で独特の範囲が出題されるため、それらに重点を置いて学習する必要があります。
働きながらの受験生に必要な勉強時間
社会人が仕事を続けながら行政書士試験に挑戦する場合、時間の確保が難しいため、効率的な学習が重要です。
働きながらの受験生には、初学者であれば600~800時間、経験者であれば300~500時間が必要とされています。
平日1~2時間、休日3~5時間の学習
社会人でフルタイム勤務の場合、毎日1~2時間の勉強時間を確保するのが現実的な目標です。平日は通勤時間や仕事の合間に勉強し、休日にはまとまった時間を確保して学習に取り組みます。
平日:1~2時間(通勤時間や昼休みを活用する)
休日:3~5時間(まとまった時間を確保し、復習や模試に集中する)
年間の学習スケジュールの例
試験までの1年間で600~800時間を確保するためのスケジュール例を以下に示します。
6ヶ月間で300時間:基礎知識の習得と過去問の理解
次の3ヶ月で200時間:応用問題や記述問題に対応
最後の3ヶ月で100~150時間:模試や総復習を行い、仕上げを行う
1年間でこのように計画的に進めることで、働きながらでも無理なく合格ラインに達することが可能です。
科目別の勉強時間配分
行政書士試験は、広範囲にわたる法律知識と一般知識をバランスよく学ぶことが必要です。
そのため、各科目にどのくらいの時間を割くかが重要です。ここでは、効率的な勉強時間の配分を紹介します。
法令科目(憲法、民法、行政法など)
法令科目は、行政書士試験の得点の大部分を占めるため、全体の70%程度の時間を割くべきです。特に民法と行政法は配点が高いため、重点的に学習する必要があります。
民法:基本的な法律の知識が問われるため、最低でも150~200時間の学習が必要です。契約法や不法行為、相続法など、頻出分野に重点を置いて学びましょう。
行政法:行政書士試験の中心科目であり、最低でも200時間以上の学習が求められます。行政行為や行政手続法、行政救済法が特に重要です。
憲法、商法、基礎法学:これらは民法や行政法に比べて配点が少ないため、合計100時間程度を目安に基礎的な知識を身につけましょう。
基礎知識科目
基礎科目は、特に苦手にする受験生が多い科目です。しかし、足切りのリスクがあるため、全体の20~25%程度の時間を割くことが推奨されます。
一般知識(政治・経済・社会):時事問題に対応するため、ニュースや新聞をチェックしながら学習しましょう。50時間程度の学習が目安です。
行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令:行政書士法関連の法令をチェックしましょう。
情報通信、個人情報保護:IT用語や個人情報保護法など、比較的暗記しやすい分野です。ここには50~80時間程度を割きましょう。
文章理解:3問の配点がありますが、読解力をつければ得点源となる科目です。50~70時間程度で、さまざまなパターンの問題に慣れておきましょう。
記述式問題
記述式問題は、短文で法律的な問題解決を求められるため、時間配分が重要です。100~150時間程度の時間を使って、解答例を参考にしながら練習を重ねましょう。
記述式問題は得点源になるため、しっかり対策しておくことが大切です。
効率的な学習方法と時間の使い方
必要な勉強時間を確保することはもちろん重要ですが、時間を効率的に使うことも同じくらい大切です。ここでは、勉強時間を最大限に活用するための方法を紹介します。
隙間時間の活用
働きながらの受験生や忙しい方にとって、隙間時間を有効に使うことは必須です。通勤時間や昼休みなど、ちょっとした時間を利用して、単語帳やアプリで法律用語を復習したり、短い問題を解いたりしましょう。
定期的な模試の受験
模試は、実際の試験形式に慣れるために非常に有効です。定期的に模試を受験し、現在の実力を確認するとともに、時間配分の練習を行いましょう。模試で得点が伸びない分野に集中して学習することで、効率的に弱点を克服できます。
復習を重視する
一度学習した内容を繰り返し復習することが重要です。特に、過去問を解きながら理解を深めることで、同様の問題が出題された際に対応できるようになります。毎日の学習時間の中で、復習に30%程度の時間を割くことを意識しましょう。
まとめ
行政書士試験に合格するためには、初学者であれば600~1000時間、法律知識がある受験生であれば300~500時間の勉強が必要です。これらの時間を確保するためには、効率的な学習計画を立てることが重要です。
各科目の重要性に応じて勉強時間を配分し、特に民法や行政法に重点を置いて学習を進めましょう。また、一般知識の足切りを防ぐために、定期的な復習や模試の受験を欠かさず行い、弱点を克服していくことが重要です。
時間を有効に使いながら、計画的に学習を進めていくことで、働きながらでも十分に合格が可能です。自分のペースで無理せず着実に勉強を進め、合格を目指しましょう。