行政書士試験の「一般知識」が基礎知識に!学習の新戦略とは?

行政書士試験は、法律系国家資格の中でも特に人気があり、毎年多くの受験者が挑戦する試験です。

これまで行政書士試験では、「法令科目」と「一般知識科目」が合格基準を構成しており、両方の科目で一定以上の得点が必要でした。

しかし、法改正によって「一般知識」が「基礎知識」へと変更されることが決定しました。この変更により、受験生は新しい出題形式や学習内容に対応する必要があります。

本記事では、行政書士試験における「一般知識」から「基礎知識」への変更点を解説し、その違いや出題数、配点、さらに効果的な学習戦略について詳しく紹介します。

「一般知識」が「基礎知識」に変更!その背景とは?

これまで、行政書士試験の「一般知識」は「政治・経済・社会」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の3つの主要分野で構成されていました。

しかし、令和6年度の試験以降、この「一般知識」が「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」という新しいカテゴリーに統合されます。

法改正の背景には、行政書士業務が多様化し、従来の法律に関する知識に加え、業務に直接関連する法律や知識が必要とされる時代背景が影響しています。

たとえば、行政書士法や戸籍法、住民基本台帳法など、行政書士の実務に直結する法律知識が重視されるようになり、それが今回の変更に反映されました。

新たな「基礎知識」の4本柱

今回の変更により、以下の4つの分野が「基礎知識」の範囲として設定されています。

・一般知識(旧「政治・経済・社会」に該当)
・行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
・情報通信・個人情報保護
・文章理解

これらの4科目をまとめて「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」と呼び、試験の中での位置づけがより実務に即した形となります。

ネコ丸

新しい分野が追加されて大変そう
行政書士に関連する法令を学ぶから一般知識よりかは良いかもしれないよ

マサル

「基礎知識」と「一般知識」の違いとは?

一見すると、「一般知識」という名称が変更されただけのようにも見えますが、実際には内容に大きな変化が生じています。

最大の違いは、「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」という新しい科目が追加されたことです。

これにより、より行政書士としての実務に即した法令が出題範囲に加わることになります。

政治・経済・社会がなくなったわけではない

「基礎知識」の新設によって、「政治・経済・社会」がなくなったのではないかという誤解もありますが、これは誤りです。

「政治・経済・社会」は「一般知識」という名前で残り、新たな4本柱の一つとして出題されます。

ただし、出題数や範囲に変更が加わるため、以前のように幅広く出題されることは少なくなる可能性が高いです。

また、「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」は、平成17年の試験改正以前に出題されていた内容で、完全に新しい分野ではないことも注目すべき点です。

出題数と配点の変更点

今回の法改正で、出題数は14問に変更がありません。しかし、内訳や配点には変化が予想されています。

出題数の予想

令和6年度の試験以降の出題数については、まだ正式には決定されていませんが、仮定として以下のように予想されています。

・一般知識(旧「政治・経済・社会」):3〜4問
・行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令:3〜4問
・情報通信・個人情報保護:3〜4問
・文章理解:3問

出題数はこれまでと同じ14問ですが、これまでの「政治・経済・社会」の出題数(7〜8問)が大幅に削減され、行政書士業務に直結する法令が新たに加わる点が大きな違いです。

配点の考え方

試験の「基礎知識」科目全体の配点は56点で、合格ラインは14問中6問(24点以上)となります。

この足切りラインに変更はないため、受験生は依然として6問以上を正解しなければ、法令科目でどれだけ高得点を取っても不合格になります。

新しい学習戦略のポイント

「一般知識」から「基礎知識」への変更に伴い、受験生は従来の学習方法を見直す必要があります。ここでは、各科目ごとの学習戦略を解説します。

一般知識

「一般知識」は、旧「政治・経済・社会」に該当する分野ですが、出題数が減少する可能性が高いため、学習のアプローチも変える必要があります。

重要なのは「浅く広く」学習することです。

過去の出題傾向を分析すると、以下の分野がよく出題されています。

・日本の行政組織や選挙制度
・貿易の自由化や経済地域統合
・環境問題や労働問題

このような頻出分野に集中して取り組み、出題範囲が広すぎるために深追いは避けるようにしましょう。

また、ニュースや新聞を定期的にチェックし、時事問題にも対応できるように準備することが重要です。

行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令

新しく追加されたこの科目は、行政書士の実務に直結する法律が中心となります。主に以下の法令が出題されると予想されています。

・行政書士法
・戸籍法
・住民基本台帳法

平成17年以前にも出題されていた分野であり、過去問を参考にすることが有効です。

ただし、法改正後の問題も加味して最新の教材を使用することが重要です。

特に、行政書士法は条文数が少なく比較的学習しやすいので、優先して取り組むと良いでしょう。

情報通信・個人情報保護

この分野では、IT用語や個人情報保護法、プロバイダ責任制限法など、情報通信に関する基本的な知識が問われます。

具体的には、以下のような法律が出題されます。

・個人情報保護法
・情報公開法
・公文書管理法

IT用語の理解は出題範囲が絞りやすく、暗記も効果的なため、繰り返し過去問や模試を解くことで知識を定着させましょう。

時間をかけた分だけ得点に結びつきやすいため、優先的に取り組むべき科目です。

文章理解

文章理解は、行政書士試験の中でも安定して得点を狙いやすい分野です。

評論文を正しく読み解き、空欄補充や並べ替えなどの問題形式に慣れることが大切です。

特に、模試や公務員試験の過去問を使って多くの問題に触れることが効果的です。

文章理解は他の分野と違って問題形式に慣れることが重要で、スキルとして身につければ確実に得点を伸ばせる科目です。

効率的な「基礎知識」対策のまとめ

「基礎知識」への変更により、受験生は新しい科目に対する柔軟な対応が求められます。

特に、足切りラインが6問であることを念頭に置き、得点の目標を明確にすることが大切です。

以下に、効果的な対策をまとめます。

文章理解:全問正解を目指し、少なくとも2問は確実に取る。
情報通信・個人情報保護:2〜3問の得点を目標に、IT用語と法律の基本を徹底する。
一般知識:時事問題や政治・経済の基礎を押さえ、1〜2問の得点を目指す。
諸法令:過去問を活用し、行政書士法などで確実に1〜2問を正解する。

このように戦略を立て、全問正解を狙うのではなく、必要な得点を確保することで足切りを回避し、合格に近づくことができるでしょう。

まとめ

行政書士試験における「一般知識」が「基礎知識」に変更されたことで、試験内容や出題形式が変わりましたが、しっかりと対策を立てれば合格に向けた道筋は見えます。

新たな「基礎知識」の4本柱に基づいた学習を進め、得点源をしっかりと確保することで、足切りを回避し合格を目指しましょう。