行政書士試験で落とし穴になりがちな科目とは?

行政書士試験はその範囲の広さや出題形式の多様さから、合格への道は決して容易ではありません。特に、受験生が陥りやすい「落とし穴」となる科目が存在します。

これらの科目を攻略するためには、しっかりとした対策と理解が必要です。

今回は、行政書士試験で特に落とし穴になりがちな科目や、その科目で失敗しやすい理由について詳しく解説し、それらを克服するための学習戦略も紹介します。

これから試験に挑む方は、ぜひこの記事を参考に、効率的に試験対策を進めてください。

行政書士試験の全体像と合格基準

まず、行政書士試験の全体像を簡単に確認しておきましょう。行政書士試験は、法令科目と基礎知識科目の2つに大別されます。

・法令科目
・憲法
・民法
・行政法
・商法
・基礎法学

これらの科目が試験の約60%を占め、合格の鍵を握ります。特に、民法と行政法は配点が高く、重点的に学習する必要があります。

・一般知識(旧「政治・経済・社会」に該当)
・行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
・情報通信・個人情報保護
・文章理解

これらの科目は出題数が少ないものの、足切り制度(14問中6問以上の得点が必要)があるため、決して無視できない重要な科目です。

行政書士試験の合格基準

・総得点300点中180点以上(60%以上)
・基礎知識科目で6問以上正解(40%以上の得点)

このように、法令科目と基礎知識科目の両方でしっかりと得点を取ることが合格の条件となります。

落とし穴になりがちな科目

行政書士試験では、どの科目も重要ですが、特に多くの受験生が苦戦しやすい「落とし穴」になる科目があります。

これらの科目は、単に範囲が広いだけでなく、試験独特の出題形式や受験生が陥りやすいミスが多いのが特徴です。

基礎知識科目

「一般知識」は、多くの受験生にとって最も大きな落とし穴になりがちな科目です。 足切り制度があるため、この科目で6問以上正解できなければ、法令科目で高得点を取っていても不合格になってしまいます。

なぜ一般知識が落とし穴になるのか?

出題範囲が広い:基礎知識科目では、政治、経済、社会問題、情報通信、個人情報保護、文章理解といった幅広い分野から出題されます。どの分野からどのような問題が出題されるか予測がつきにくいため、準備不足になりやすいです。

時事問題が多い:特に政治・経済・社会分野では、その年の時事問題が出題されることが多く、ニュースや社会の動向に敏感でなければ、対応が難しい問題もあります。

文章理解の対策不足:文章理解は、試験本番で時間を取られることが多い科目です。受験生の中には、この分野を軽視してしまい、対策が不十分なまま試験に臨むことが多く、結果として時間切れや得点不足に陥ることがあります。

一般知識での失敗を避けるための対策

時事問題を意識する:日頃からニュースや新聞をチェックし、政治や経済の動向を掴んでおくことが重要です。また、過去の時事問題の傾向を把握し、頻出のテーマを重点的に学習しましょう。

文章理解の練習:文章理解は、過去問を使って時間を計りながら練習することが効果的です。特に、長文問題に対して素早く正確に解答できるよう、日々の学習でトレーニングを積み重ねましょう。

ネコ丸

文章理解は確実に得点していきたいよね
文章理解は全問正解が理想だね

マサル

民法

民法は、法令科目の中でも特に難易度が高く、多くの受験生が苦戦する科目です。行政書士試験では、民法が最も出題数が多く、得点源にもなりますが、同時に理解が難しい部分も多いです。

なぜ民法が落とし穴になるのか?

範囲が広い:民法は、物権法、債権法、親族法、相続法など、幅広い分野にわたって出題されます。

各分野ごとに異なるルールや法律の適用があるため、初学者にとっては混乱しやすい科目です。

条文の理解が難しい:民法では、条文の文言が非常に重要ですが、その内容は法律用語や法的概念が難解で、初学者には理解しにくい部分が多くあります。単なる暗記ではなく、条文の意味を正確に理解することが求められます。

判例の理解が必要:民法の問題は、条文だけでなく判例も重要な出題ポイントです。判例は、法律の適用を実務的に解釈するための重要な指針であり、これを理解していないと、応用問題で失点してしまいます。

民法での失敗を避けるための対策

体系的な理解を目指す:民法は範囲が広いため、個別の条文を単に暗記するのではなく、体系的に学習することが重要です。民法全体の流れや関連性を意識しながら学習を進めることで、理解が深まります。

過去問で判例対策をする:判例の問題は、過去問を解くことで傾向が掴めます。特に、頻出の判例をしっかりと理解し、その背景や適用方法を覚えることで、応用力が養われます。

事例問題で応用力を養う:民法の理解を深めるためには、事例問題に取り組むことが効果的です。事例問題では、条文をどのように適用するかを実践的に考える力が求められるため、日々の学習でこれらの問題に取り組むことで、試験本番でも対応しやすくなります。

行政法

行政書士試験では、行政法は民法と並んで最も重要な科目です。出題数が多く、配点も高いため、合否を左右する科目ですが、受験生が苦戦しやすい理由がいくつかあります。

なぜ行政法が落とし穴になるのか?

細かい条文の暗記が求められる:行政法は、細かい条文が数多く存在し、これらを正確に覚えることが難しいです。特に、行政手続法や行政救済法など、似たような条文が多く、混同してしまう受験生も多いです。

理解が不十分になりがち:行政法は実務に即した内容が多く、条文や手続きの流れを理解しないまま学習を進めると、問題に対応できなくなります。単なる暗記では対応できない部分が多いのが、行政法の難しさです。

記述式問題で苦戦する:行政法は記述式問題でもよく出題される分野です。記述式では、法律用語を正確に使いながら、簡潔に回答する力が求められますが、この対策が不十分なまま試験に臨む受験生が多いです。

行政法での失敗を避けるための対策

過去問で条文を正確に理解する:行政法の条文は、単に暗記するだけではなく、過去問を通じてどのように出題されるかを確認しながら学習することが重要です。過去問の解説をしっかり読み込み、条文の意味や適用範囲を正確に把握しましょう。

事例を使った学習:行政法は実務に即した事例問題が多く出題されるため、事例問題を解くことで、条文がどのように適用されるかを具体的に学ぶことができます。これにより、応用力が養われ、記述式問題にも対応しやすくなります。

模擬試験で記述式問題の練習をする:記述式問題の対策には、模擬試験が効果的です。模試を受けることで、限られた時間内でどのように記述すればよいかを練習し、試験本番に備えることができます。

記述式問題全般

記述式問題は、解答の正確性が求められるため、多くの受験生が苦手意識を持っています。特に、行政法や民法の記述式問題では、条文の正しい理解に加え、簡潔かつ論理的に答える力が必要です。

まとめ

行政書士試験では、基礎知識科目、民法、行政法が特に落とし穴になりやすい科目です。これらの科目に共通するのは、範囲の広さや、単なる暗記では対応できない応用力が求められる点です。

しかし、適切な学習方法を取り入れれば、これらの科目での失敗を防ぎ、合格に近づくことができます。

基礎知識科目:時事問題や文章理解に対応するために、幅広い知識を持ちつつも、重点的な対策を行いましょう。
民法:体系的な理解と判例の学習が鍵です。
行政法:条文の理解を徹底し、事例問題で応用力を養いましょう。

しっかりとした計画を立て、各科目に合った勉強法を実践することで、行政書士試験の合格を目指して頑張ってください。