行政書士試験で差がつく!「許可」「特許」「認可」の覚え方と理解のコツ

今回は「許可」「特許」「認可」といった行政行為の違いについて説明しています。

これらの用語は、行政法の中でも試験によく出題されるポイントですが、混同しやすい部分も多く、正確に理解することが必要不可欠です。今回は、行政書士試験で差がつく「許可」「特許」「認可」の違いと覚え方を解説し、効率的な学習法をお伝えします。

「許可」「特許」「認可」とは?それぞれの基本概念

まず、「許可」「特許」「認可」という用語の基本的な意味を確認しましょう。これらは行政法における「行政行為」の一部で、いずれも行政機関が特定の行為に対して法的な影響を与える行為を指します。

しかし、それぞれの意味や適用範囲は異なります。

許可(きょか)

許可とは、法律で原則として禁止されている行為を、一定の条件のもとで特定の人に対して解除し、その行為を合法的に行えるようにする行政行為です。たとえば、法律上禁止されている行為であっても、許可を得れば合法となります。

例:飲食店営業許可、自動車運転免許、建築許可

法的根拠:法律で原則として禁止されている行為が、一定の条件を満たした場合に限り、行政機関によって許可される。
許可のポイントは、「法律で禁止されている行為を解除する」という性質にあります。たとえば、飲食店の営業は許可がなければ禁止されていますが、許可を受けることで営業が可能になります。

特許(とっきょ)

特許とは、国民が本来有していない特別な権利や地位などを新たに与える行政行為です。

つまり、特定の人や企業に対して、法的に新しい権利や地位を創設し、特別な法的地位や利益を与えるものです。

例:鉱業権の設定、漁業権の付与、河川占用の許可

法的根拠:特定の者に対して、新たな法的権利や利益を設定し、付与するために行政が関与する。
特許の特徴は、「特別な権利や地位などを新たに与える」という点です。たとえば、特許権は、特定の発明や技術に対して国が独占的な権利を付与する行政行為です。

特許を受けた者は、その権利を独占的に行使できるようになります。

認可(にんか)

認可とは、私人が行った法律行為に対して、行政機関がその行為を承認し、法的に効力を持たせるために行う行政行為です。

私人が独自に行う法律行為が有効となるためには、行政からの認可が必要です。

例:会社設立の認可、農地転用の認可、公益法人の設立認可

法的根拠:私人が行う法律行為に対して、行政機関が公的な承認を与えることで、初めて法的効力が発生する。
認可のポイントは、「私人が行った行為に効力を与える」ことです。たとえば、会社を設立するためには定款の認可が必要です。この認可がなければ、その会社は法律上設立されていないことになります。

許可、特許、認可の違いと覚え方

ここまででそれぞれの基本的な概念を確認しましたが、これらの用語を正しく覚えるためには、その違いをしっかりと理解する必要があります。試験では、これらの違いが正確に問われることが多いため、効果的な覚え方を工夫しましょう。

許可、特許、認可の違い

用語 定義 覚え方のポイント
許可 法律で禁止されている行為を解除する行政行為 飲食店営業許可、自動車運転免許 「法律で禁止されている行為を許される」
特許 特別な権利や地位などを新たに与える 漁業権、鉱業権、河川占用の許可 「特別な権利や地位などを新たに与える」
認可 私人の行為に法的効力を与えるための承認行為 会社設立の認可、農地転用の認可 「私人の行為に効力を与えるための承認」

許可、特許、認可の覚え方のコツ

許可は、「もともと禁止されている行為を合法にする」と覚えましょう。たとえば、飲食店の営業や車の運転など、法律で原則禁止されている行為が許可を得ることで行えるようになります。

許されるから許可」というイメージで理解すると良いです。

特許は、「特別な権利や地位などを新たに与える」ということを覚えておきましょう。特許権や漁業権など、国が特別に権利を与えることで新しい法的な地位が生まれます。

特別な権利を与えるから特許」というイメージで覚えると分かりやすいです。

認可は、「私人の行為に効力を与えるための承認」と覚えましょう。行政の承認を得ることで、私人の行為に法的な効力が発生するということです。

確認するから認可」と覚えると良いでしょう。

許可、特許、認可が混同しやすい理由と克服法

許可、特許、認可は行政行為の一種であり、それぞれが行政機関による承認や許可を通じて法的な影響を与えるものです。

このため、用語が似ていて混乱しやすいですが、いくつかの違いを意識することで、混同を避けることができます。

許可と認可の違いに注目

許可と認可は特に混同しやすい用語です。どちらも行政機関が関与する行為ですが、許可は法律で禁止されている行為を解除するものであり、認可は私人の行為を承認し、その行為に法的効力を与えるものです。

この違いを明確に意識することが重要です。

特許は新しい権利の創設

特許は、他の2つとは異なり、新しい権利や地位を創設するための行政行為です。これを覚えるためには、特許権や漁業権といった具体例を思い浮かべ、行政機関が新たな権利を付与するイメージを強く持つことが大切です。

過去問を活用して理解を深める

行政書士試験の過去問を解くことで、許可、特許、認可がどのように出題されるかを確認できます。実際の試験問題でどのように問われるのかを理解することで、試験本番でも自信を持って回答できるようになります。

過去問を繰り返し解きながら、実務的な場面での使われ方を学びましょう。

許可、特許、認可に関する具体例と応用

許可、特許、認可の理解を深めるためには、具体例を通じて実際の場面でどのように使われるかを確認することが重要です。

ここでは、具体的な事例を紹介し、それぞれの用語がどのように適用されるかを見ていきます。

許可の具体例

飲食店営業許可:食品衛生法では、飲食店の営業は許可がなければできません。営業許可を得ることで、法律で禁止されている営業行為が可能になります。
自動車運転免許:運転免許は、道路交通法に基づき、運転を許されるための許可です。無免許運転は法律で禁止されていますが、免許を持っていれば運転が許されます。

特許の具体例

漁業権の付与:漁業法に基づき、特定の漁業を行うための権利を国が付与します。これにより、特定の地域で漁業を行う独占的な権利が得られます。

認可の具体例

会社設立の認可:会社を設立するためには、定款の認可を受ける必要があります。この認可を受けることで、会社の設立が法的に有効になります。
農地転用の認可:農地を宅地や工業用地に転用する場合、農地法に基づいて行政機関の認可が必要です。この認可を受けなければ、転用は法律上有効になりません。

許可、特許、認可の理解度を確認するためのチェックポイント

許可、特許、認可を正確に理解できているかを確認するためには、以下のチェックリストを参考にしてみましょう。

許可:法律で禁止されている行為を、条件付きで解除するものか?
特許:特定の者に新しい権利や地位を付与する行為か?
認可:私人の行為を行政が承認し、効力を持たせるための行為か?

これらのポイントを踏まえ、問題に対して適切な判断ができるように復習しましょう。

まとめ

行政書士試験において、「許可」「特許」「認可」は行政法の基本的な概念ですが、その違いを正確に理解することが合格の鍵となります。これらの用語は一見似ているものの、法律上の意味は異なり、それぞれの用途や役割を明確に理解することが必要です。

許可:禁止されている行為を合法化する行為
特許:特別な権利や地位などを新たに与える行為
認可:私人の行為に効力を与えるための承認行為

過去問を繰り返し解くことで、これらの概念をしっかりと頭に定着させ、行政書士試験で高得点を目指しましょう。